カリフォルニア州司法試験の勉強方法などについて③

―――――――― 目次 ―――――――――

1. 勉強スタイル、要した時間等について

2. 使用教材について

(1)全体像

以上については過去記事①参照

(2)各教材の説明

【インプット教材】

以上については過去記事②参照

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【アウトプット教材】

青本(論文)

CalBarの論文試験の過去問集。

各科目について、6問ずつ良問(と思われる)が厳選して掲載されており、重要な論点が網羅できるように設計されている(と思われる)。日本人に限らず、受験生の中では最も定評のある論文用アウトプット教材と理解している(Amazonの評価の高さが信頼と実績を物語っている。)。

また、各科目6問中、1問には模範解答、全問に模範答案校正(答案骨子)が付いており、どちらも「頑張れば自分にもできそう」と思える程良いクオリティなところも助かる。

私の場合、論文はこの青本に掲載された過去問だけで演習を行い、その他の(青本未掲載の)過去問や予備校等のオリジナル問題には取り組まなかった。その代わり、ここに掲載された過去問は、平均約3周(多い科目では5、6回)と何度も繰り返し繰り返し徹底的に解いた。論文試験では、問題文を読み、書くべき論点を瞬時に特定(issue spotting)する能力が重要と考えており、これを養いたかった。「解いた」といっても、答案の骨子を10分ほど頭の中で考えて紙に書き、特定した論点に過不足がないか、順番が適切か、などを確認した程度で、本番までに時間を計りフル起案をした回数は限られる。私の場合、特定した論点として何を書くべきかの訓練(例:憲法の論文科目で「standing」(原告適格)という論点を書くべきと特定した場合に、standingの論証としてどのような文章を紙に吐き出すべきかの練習)は、青本を使ったアウトプット演習ではなく、専ら日頃のインプットのなかで意識的に(アウトプットを意識したインプット演習として)行った(つまり、単にstandingの論証を左から右に読んで暗記しようとするのではなく、standingの論証を頭の中で書いてみて、それが合っているかを文字を読んで確認するという方法でインプットをした)。

この点は、勉強方法の項で後述する。

 

なお、過去問以外のパート(論文試験に関する心構え等の一般論、論点一覧表や論証集)については、目を通す必要は全くないと思う。本書に掲載の論証集は、とても網羅的で詳細だが、試験に効率的に合格するという観点からは、網羅的で詳細過ぎる。

 

赤本(PT)

CalBarでは、架空事例をもとに、架空の裁判例から規範を引用しながらあてはめを行う書面起案科目が必ず出題される。

これがPerformance Test (PT)であり、その採点上の重要性は極めて大きい。

理由はChatGPTに説明してもらう。

 

++以下、GPT++

 

カリフォルニア州司法試験は現在、以下の構成です:

  • MEE(Essay)×5問:各100点

  • PT ×1問:200点(Essay 2問分に相当)

  • MBE(択一)100問×2セッション=200問:各1点=200点

したがって、PTはエッセイ全体(5問+PT=計700点)において 200点/700点(約29%) を占め、Essayセクション中では最も重い1問です。

PTでは、法律の知識は前提とされず、与えられた法令・判例・依頼人メモ等を読み取って、実務的な文書を起案する能力が求められます。
例:

  • メモランダム(to a supervising attorney)

  • クライアント向けレター

  • ブリーフ(Persuasive brief or objective brief)

→ 採点者は、「与えられた素材を的確に理解・引用し、論点を明確に整理し、説得的かつ論理的に書いているか」を重視します。

PTは以下のような特徴を持つため、他受験生との差がつきやすく、合否に大きく影響します:

  • 法律知識を要しないため、準備不足でも点が取れる反面、「読み方・構成・時間管理」で大きな差が出る

  • Essayで点が伸びづらい受験生でも、PTでカバーできる可能性がある

  • 逆に、PTで大きく失点すると、他で高得点を取っていてもカバーしきれないリスクがある


  • MBEがやや弱くても、PTで高得点を取ることで挽回可能

  • 逆に、Essay・MBEで合格ライン上にいたとしても、PTで致命的失点をすると落ちるケースがあり得る

→ したがって、PTは**「最重要科目の一つ」**と位置づけられます。

 

++以上、GPT++

 

十分にお分かりいただけたと思う。

事前知識は基本的に不要で、スキルによって点数を伸ばすことが可能であるので、暗記モノでないからと言って水物と思わず、一生懸命に準備すべ
きである。

この赤本も、青本と同様に、いわゆる過去問集であるが、単に模範解答が載っているだけでなく、ステップバイステップで答案作成方法を指南する設計となっている(どの資料を、どの順番で、どういう点に注目しながら読み、どのように少しずつ起案を進めていけばいいかを、手取り足取りガイドしてくれる)。

この本による演習を通じて、私は、以下のようなPTの必勝パターンを確立した。

①問題の指示を読んで、起案すべき文書の種類、記載すべき論点、導くべき結論を確定する(→すぐにこれらを答案に書き、答案のフレームワークを固める)。

②添付の裁判例から「記載すべき論点」の規範部分をPCでコピペする。この際、裁判例の事案や事実関係、当てはめ部分は基本的に読まないし、答案にも記載しない(奇跡の満点から確かな70点への覚悟)。

③①と②の作業で、「問題提起」と「規範」が完成しているので、本件における具体的事実関係で関連しそうなものを片っ端から「規範」の下にコピペで突っ込みまくる。

これにより、時間に余裕を持ちつつ、(美しくはないが)適切な規範に基づき(少なくとも分量だけは)かなり充実した当てはめを安定して容易に達成することができるため、おすすめである。

このメソッドについて、詳細は後述する。

 

赤本に掲載されていないPT過去問

PTは、2017年7月の試験から試験時間が短縮されており、現行形式の過去問は、同試験以降の分だけと数が限られる。論文と異なり、過去問が膨大ではない。

しかも上記のとおり、PTは訓練がモノをいう科目であるため、私は赤本に掲載されていない過去問もすべて試験前に取り組んだ。

PTの自分なりの解法は、赤本を通じて上記のものを確立していたところ、この解法をより使いこなせるようにし、また「このやり方はどんな問題が出ても絶対に通用する」と確信できるようにしたかった。

 

AdaptiBar(短答)

説明不要と思われる。

(一時期、このブログではKaplanのQBankの使用を推奨していましたが、これは撤回しています。こちらを参照。)

 

 

~続く~

 

※本記事にはアフィリエイト広告は含まれない。

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