カリフォルニア州司法試験の勉強方法などについて⑥

―――――――― 目次 ―――――――――

1. 勉強スタイル、要した時間等について

2. 使用教材について

(1)全体像

(2)各教材の説明

【インプット教材】

コーヒーブレイク~「条文」について~

【アウトプット教材】

【最大限の敬意を表しつつ(with all due respect)、使用してみたものの、個人的には不要であったと考える教材】

コーヒーブレイク~使用した機器について~

――――――――――――――――――――

3. 具体的な勉強方法について

(1)短答

過去記事でも書いたように、短答の勉強には、過去問集であるAdaptiBarを用いるのがよい。

別の過去記事でも紹介したように、私が受験した2025年2月の試験ではKaplan問題が採用されたが、州最高裁の命令によってNational Conference of Bar Examiners (NCBE)作成のMBEに逆戻りとなることが濃厚となっていた。

実際、現時点で州弁護士会のウェブサイトを見てみたところ、以下のようにMBEに逆戻りすることが公式にアナウンスされていた。

The July 2025 bar exam will take place over two days, Tuesday, July 29, and Wednesday, July 30. Applicants with certain testing accommodations may have extended days. The July 2025 bar exam will be administered entirely in person at designated testing sites in California. For the July 2025 bar exam, the State Bar will be using the Multistate Bar Examination (MBE), created by the National Conference of Bar Examiners (NCBE), for the 200 multiple-choice questions.

私のように、最後の最後でAdaptiBarからKaplanに切り替えるといった悲劇は、もう誰にも起こらないことを祈ろう。


さて、AdaptiBarは、MBEの過去問をスマホでポチポチとスキマ時間に解くことができるほか、解説が“Brief Explanation”と“Extended Explanation”で分かれていて理解度に応じて使い分けられる(たまに解説が1つしかない問題もある)といった点が便利である。

若手弁護士エスワイ先生のnote、saltyfield先生のブログ、bentaro_law先生のnote、前川先生のブログ、maso先生のブログ、など、多くの諸先輩方の記事でもAdaptiBarが推奨されている。

ちなみに内田清隆先生は、バーブリ派とアダプティバー派との対立に関する興味深い分析を行われている。私自身はバーブリを使用したことがないため論争に参戦する資格を持たないが、同様の議論については別の箇所(redditにおける現地受験者間でのディスカッションなど)でも見聞きしたことがあるので、確かに論点ではあるのかもしれない。

またドナルド先生も、上記のトレンドのなか、少数派の勉強方法で合格されているのでご参考までに紹介させていただく。


AdaptiBarに特別な使用方法はない。

日々のインプットを強化・定着するためにも、同時並行で少しずつ問題を解いていく。これに尽きると思われる。

上記で紹介した他の合格者の方々も、多くが勉強初期からコツコツと回答していき、最終的には2000~3000問以上は解いたという方が多い印象である。

私自身は、一日10~20問くらいをノルマに平日の行き帰りの電車の中で取り組んでおり(ただ、このノルマを真面目にクリアしていたのは試験直前の約半年間ほどで、それ以前は、一日5問くらいしか解いていない日が多かったと思う)、最終的には合計で3000問くらいは解いたと思われる。

スマホにアプリが残っていたので、performanceを参考までに載せておく。

補足すると、計測期間は「2024年8月1日以降」(試験の約6か月前以降)である。

私の勉強期間は比較的長かったため(こちらを参照)、その間にAdaptiBarのライセンス(ライセンス期間は試験サイクルに合わせて半年となっている)を何度かロールしている。

つまり、上記計測期間以前にも解いていた問題があるし(それを1810問と足すと、上記のように全体で3000問くらいになる)、また上記計測期間以前の正答率はもっと低かったと思う(直前の半年間に、正答率が78%まで上がってきたということである)。

たしかAdaptiBarには、「間違えた問題だけを解く」というあったら良さげな機能がなく、私の場合にはただただランダムに出題される問題を解き続けていたのだが、それでも勉強期間が進むにつれて勝手に正答率は上がっていったので、それでよいのだと思う。上記で紹介した先輩方の記事でも、解けば解くだけ正答率が上がる趣旨の記載が多いと思う。


最後に、「時間」について述べておく。

短答では200問を合計6時間(360分)で解く必要がある。いつもなのか分からないが、私の回では90分×4セッション。

すると一問当たり1分48秒で解く必要があるが、これはなかなかのスピードを求められる。ちょっとでも立ち止まると終わりである。

私の場合、試験直前期(数か月前)までは時間を気にせずにしっかりと考えて解くようにしていたが、直前期になりいざ時間を計りながらやってみると、想像以上に時間がキツイことが分かり苦労した。ただ、急ごうと思って早く英語が読めるようになる訳でもないため、「なるようにしかならないのでは」というのが感想である。

以下参考までに、私が同僚から聞いたアドバイスを感謝と共に紹介しておく。

「事例・問題文を読むのは絶対に一回だけ!と決めて、絶対に読み返さないようにすると、理解度も上がって時間が間に合うようになった」(CA州合格者)

「練習のときには一回も時間内で解けたことがなかったけど、本番は余裕で間に合ったから、大丈夫だと思う」(NY州合格者)

概ねアドレナリンの効果に依拠する趣旨と思われる後者に関しては、これを聞いたときには「どんなアドバイスだ」と思ったが、私も練習では時間内に解くことに非常に苦労していたところ、本番では、サーバーがダウンして試験時間が10分ほど吹き飛ぶという危機的状況を迎えながらも、4セッションともなんとか1、2分を残して間に合っており、意外に的を得ているのかもしれないと感じた。

~続く~

※本記事にはアフィリエイト広告は含まれない。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *