読みました。
宮部みゆき先生の作品です。
傑作でした。この人は、本当に天才すぎる……。
十年以上前に読んだ『模倣犯』も、細かいストーリーはほとんど覚えていないけれど、同じような感想を抱いたのを記憶している。
文庫本にして６巻の（模倣犯よりも１巻多い）超大作だけど、物語に引き込まれるまでの速度が尋常ではない。
１巻の真ん中くらいからしてすでに、ページをめくるのを止められなくなる。
自分を含め、おそらく多くの読者が主人公たち（主人公と他の登場人物、というより、登場する子供たち全員が主人公であり、文字通り「主人公たち」と言うのが正確と考える）の「その後」がとても気になったはずだが、そこは意図して描かなかったのだろう。
右に行こうと左に行こうと、具体的にどんな方向に成長を遂げようと、あの夏を生きた彼らが彼らなりの考えで真摯にその先の人生を歩いていくことは疑いがない。そう考えれば、やはり「その後」を敢えて描くというのは、たしかに野暮というものだろう。
最高の一冊で秋の滑り出しを迎えられたと思います。
以上です。