書評『告白』

読みました。

湊かなえ先生、ではなく、町田康先生の作品。

文庫本800頁超えの一冊で、普通なら上(中)下に分冊されているくらいの長さ。

素直に、持ち運ぶのが大変……。

内容は、「河内十人斬り」という昔の事件を元にしたもの。

「人はなぜ人を殺すのか」という哲学的なテーマを扱い、主人公が上記事件を起こすに至るまでの経緯(とくに心理的なもの)を丁寧に描く。

主人公が思弁的な性格であることに加えて、それを作者も丁寧に書き漏らさずに描写するため、シーンや出来事の数はさほどではないが、結果的に上記の分量に達している、というところか。

Amazonでの評価が非常に高く(4.5くらい)、大変に期待したが、まずまずという感想。

実は以前、同じ町田先生の芥川賞受賞作である『きれぎれ』を途中まで読んで挫折した経験があるのだが、そもそも自分はあまりこういった文学的な表現(もっと有り体に言うと、芥川賞作家っぽい表現)が、苦手なのかもしれない。

他にも、芥川賞受賞作を読んで結局積読になってしまったことがあるし、要するに自分には芸術的な感性がなくて(美術館とかにいっても作品の価値を理解(appreciate)できない)、起承転結が明確で分かりやすいエンタメ作品が好きな安い読者なんだろうと思う。

 

以上です。


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